第16章 ◆番外編3「見合い」
先輩さんはこのお手紙のとおり、親しみやすい人だ。
私のことは妹みたいに思ってるって言っていたし、先輩さんとなら嘘のお見合いをしても迷惑はかけないと思う。
「ううーん…でも、他の男と食事か…僕だったらやっぱり嫌だなぁ。だいたいその人が本当に口説いてこない保証なんてないし。行くとしても、長谷部くんに一回聞いてみたほうがいいんじゃない? 黙ってお見合いに行くなんて主だって複雑でしょ?」
それは、分かってる…。
行くべきじゃないって分かってるけど…。
長谷部さんに言ったら、絶対に行かないでって言われるに決まってる。
お守りのためなんて言ったら余計に。
…でも私は…なんとしても、長谷部さんのお守りがほしい…。
「……長谷部さんには、言いません。内緒で行きます」
「えぇ!? ちょっと、主…どうしたの?」
「相手が先輩さんなら心配ありません。長谷部さんに反対されたって、私は行きます。…だから、その日は燭台切さんが近侍になって下さい」