第15章 ◆番外編2「現代遠征」
今すぐにでも抱きたくてしかたなかったが、まずはちゃんと彼女の不安をとってあげることが先だと判断した長谷部は、また彼女と目を合わせる。
「主…寂しい思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。俺と違って貴女は仕事のつもりで来ているのだと思ったから、遠慮していたのです。…でも、同じように思って下さっていたのですね。嬉しいです」
「…本当ですか? 長谷部さんも?」
「ええ。…ですから、いきなりこんなことをしてはいけませんよ。もちろん気持ち良かったのですが…貴女を誤解させたままにするところでした」
彼女は諌められると、赤くなってうつむいた。
「すみませんでした…。こうでもしないと、長谷部さんを繋ぎ止めておけないと思ったから…」
「…どういう意味ですか?」
長谷部が首を傾げると、主は両手の指をいじりながら話し出す。
「だって…今日話し掛けられていた女性たち、とても綺麗な人たちだったから…長谷部さん、私に興味なくなっちゃうかと思って…。私は平凡ですし…なんとかして、気を引きたくなってしまって…」
「……俺が? あの者たちに目移りするとお思いに…?」
「そう思ったんです…あんな綺麗な人たちに誘われたから…長谷部さんは私に魅力を感じなくなっちゃったのかな、って…。だから抱いてくれなかったのかも、って…」
腕の中に収まりながらそんな的はずれな話をする彼女に、長谷部はメラメラとした感情が溢れてきた。