第15章 ◆番外編2「現代遠征」
「…長谷部さん…私のこと、飽きちゃいましたか…?」
「……は…?」
「お風呂も…お布団も……一緒に入ってくれなかったから……」
うるうるとした切ない眼差しでそう言われ、長谷部の胸は高鳴った。
しかしあまりにも見当違いなことを言われ、一瞬言葉が出てこなくなる。
「主、あのっ…俺は貴女が疲れているかと思って…」
長谷部はそう言いつつも、彼女は夜伽に誘われなかったことを寂しく思っているのだと理解すると、たまらなく興奮してくる。
ドクン、ドクンと心臓が脈を打っていた。
「…私はすごく今夜のことを期待してしまいました…でも長谷部さんは平気なんですね…私が疲れてたら我慢できるんですもんね…」
「まさか! 俺だって主に触れたいですよっ…!」
「……。」
主はまだ唇をとがらせたまま、ふて腐れた様子で疑心暗鬼な瞳を向けてくる。
不機嫌の理由までもが可愛くて、長谷部は興奮気味に彼女の頭を撫でた。
「寂しかったんですか? 主。俺がお誘いしなかったから。…それで泣いていらっしゃった、と?」
「……そうです…」
くらりときて、長谷部はまた彼女を抱きしめる。
(可愛い…可愛い…! 主はなんて可愛いんだ…!)
胸がキュウンと締め付けられ、彼女の可愛さに過呼吸になりそうなほどトキめく長谷部。