第15章 ◆番外編2「現代遠征」
長谷部は欲望に耐えるため、寝返りを打って彼女に背を向けた。
そのまま眠ろうとするが、風呂上がりの主の肌の感触ばかり妄想し、全く眠ることができない。
(ダメだ…こんなの眠れるわけがないっ…主に触れたい…抱き合いたい…俺の腕の中で甘い声を聞かせてほしい…少しだけでもいいっ…)
切なる願いは溢れているのに、主に幻滅されたくないという思いから言葉にはできない。
しばらくそのまま、体中が彼女を求めている限界の状態で耐えていた。
目を瞑り、歯を食い縛る。
───ごそごそ
すると、隣の布団の主が動いた。
長谷部は背を向けて寝たふりをしているため、振り向いて確認することはできない。
(主…? どうされたのだろう…)
じっとしていると、彼女が立ち上がり、布団と畳を踏みしめて歩いてくる音がした。
─ギシ…ギシ…─
音は長谷部の布団の近くで止まる。
すると、彼女は膝をつき、長谷部の布団の中に下からもぐり込んだのだ。
(えっ…!? 主っ…!?)
長谷部は一瞬涼しくなった足をピクンと反応させたが、何が起こっているか分からずまだ寝たフリを続けている。
しかし、彼女が布団に潜り込み浴衣の中に手を入れてきたのだと分かると、途端に慌て出した。
「主っ…何をなさっているんですか…!?」