第15章 ◆番外編2「現代遠征」
◆◆◆◆
ぎこちない笑顔で部屋での夕食を終え、二人はなんと交代でそれぞれに風呂に入った。
風呂に入ることを切り出したのは長谷部だったが、先ほどの反省から「どうぞ主が先に入ってください」と促したのだ。
主はショックだった。
長谷部は一緒に温泉に入りたいと言ってくれるかと思っていた。彼と入るためにこの部屋をとったのに。
露天風呂でこの雰囲気を挽回できるかと希望を持っていたが、それは叶わない。
(やっぱり、男性だらけの本丸では私が良く見えていたのかもしれないけど、ここでは綺麗な女性がたくさんいるから…もう私が相手じゃそういう気にならないのかな…)
─『そんなに美人じゃないじゃん』─
あの女性グループの言葉が重くのし掛かる。
自分に魅力がないから、長谷部の心が遠くなってしまったのではないか。そう不安になった。
彼女の入浴中も長谷部は報告書の準備ばかりしており、入ってくる気配はない。
主は長く浸かり、もう少し待てば来てくれるんじゃないかと待ち望むが、ついに最後まで入ってはこなかった。
交代して長谷部が風呂を上がっても、彼女の胸はキリキリと痛んでいた。