第15章 ◆番外編2「現代遠征」
「主? どうかなさいましたか?」
美人グループに貶されたことですっかり元気のなくなった主だったが、これは仕事なのだと改めて自分を奮い立たせ、長谷部に返事をする。
「いいえ、何でもありません。さあ長谷部さん、行きましょうか!」
「ええ。主、荷物をお持ちします」
ぶらぶらとさげていた饅頭の土産袋を、長谷部は彼女の手から流れるように奪い取った。
「え! そんな、私が自分で持ちますよ…」
「これくらいさせて下さい」
「す、すみません…帰りに買えば良かったですよね…」
さらなる失敗を重ねて落ち込む主だったが、長谷部はそんな彼女を愛しく思っていた。
美味しいものを本丸の皆へ分けてあげたいという彼女の心持ちが、とても素直で可愛らしい。
今は彼女を一人占めしていると思っていたのに、主は離れても変わらず本丸を想っているのだと分かると、長谷部はかすかな嫉妬を感じつつ、それが嬉しかったのだ。