第15章 ◆番外編2「現代遠征」
「なるほど…」
「……と、まあそのような経緯ではありますが、観光地ということもあり他の本丸の審神者たちは旅行気分で訪ねているようです。主さまもそんなに気負わず、ご一泊の宿でもとって観光してきて下さい」
そうは言っても、歴史あると思っていた観光地が実は数年前の過去改変によって作られてしまったものだったとは、彼女もにわかには信じられなかった。
(審神者として、きちんと見学してこなきゃ…!)
「それで、同行する刀剣男士は誰にします?」
「……え」
こんのすけの言葉に、主は顔を上げた。
目の前には、第一部隊の面子がずらっと座っている。
燭台切に鶴丸、大倶利伽羅、三日月、そして一期。
(皆さん…私が誰を選ぶかなんて分かりきってるんだろうなぁ…)
主は隣にいる長谷部の顔を見上げて、じっと見つめた。
「主っ! ぜひ、お供させてください!」
待っていたとばかりに長谷部から先に申し出て、主は彼と膝を付き合わせて両手を握り、「もちろんです」と答えた。
鶴丸はニヤニヤと二人を見て、「そりゃそうだ」と納得の様子。
燭台切も微笑みながら言った。
「温泉郷へ二人旅なんて、ゆっくり羽を伸ばせるね。楽しんでおいでよ」
主と長谷部は顔を見合せ、ぽっと赤くなった。