第14章 ◆番外編1「猥本」
─ちゅ…─
誤解がとけた口づけを交わし、いつ今夜の夜伽を始めるかを探り合う。
私はふと、置きっぱなしとなった卑猥な道具たちに目をやった。
「…長谷部さんは、ああいうのはお嫌いだったんですか?」
私の視線がそれらを指していることに長谷部さんはギョッとした様子で、彼はそこから目を逸らす。
「嫌いというより…貴女を傷つける道具を使う気にはなれませんよ。いつも言っていますが、主が苦しむことは俺の快楽ではありません」
優しい…。
嬉しくて、また口づけの続きをする。
徐々に深くなってきて、ついに長谷部さんが私を布団に押し倒す。
すると長谷部さんは何か言いたげに、神妙な顔つきで唇を離した。
「長谷部さん? どうしました?」
「あの…主…お願いがあるのですが…」
「はい」
「………………目隠しだけ、使ってもよろしいですか………?」
「……え?」
────その晩は、それはそれは長い夜になりました。