第14章 ◆番外編1「猥本」
「主っ…」
手加減されず、いつもより強く抱き締められていた。
予想していなくて体が傾くけど、彼はそれを気にせず私を腕の中に閉じ込める。
「ああっ…なんて可愛らしいんですか主っ…! 充分嬉しいですよっ…俺のためを思って下さるそのお気持ちが、何より嬉しくて…死んでしまいそうです…」
え……?
「気持ち……?」
「だいたい、自覚がないようですが…貴女は床上手ですよっ…」
「へっ!?」
「主のなさること、全てが可愛らしくて…いつも俺は欲情させられていますっ…! これ以上貴女に夢中にさせようなどと、一体俺をどうするおつもりですかっ!」
抱きついて叫びながら、長谷部さんは私を甘く叱る。
私が長谷部さんを喜ばせたいっていう気持ち…それが大切だったんだ。
先走ってしまったけど、そんな私を優しく諭してくれる彼にさらにドキドキして、私からもぎゅーっと抱き締め返した。
「長谷部さん大好きっ…」
「主っ…俺も大好きですっ…」
いつもの愛の囁き合いになり、しばらくして私たちは力を緩め、笑いあった。