第2章 ◆耳元で愛を ★★☆☆☆
─ちゅぱ…ちゅ…─
潤った音はしばらく室内に響き渡り、さらに二人分の衣擦れの音と、くぐもった吐息だけが聞こえていた。
長谷部は隙を見て主を押さえ、愛撫をする側に戻る。
するとまた主も隙を見て、彼を愛撫する。
代わる代わるお互いを攻め合い、激しく求めうのだった。
終わりはいつ来るのか、お互い相手が言い出すことを待っていたのだが、長谷部の方が先に根を上げることとなった。
「……あ、主、あのっ…そろそろおやすみにならなくても大丈夫ですか? 明日もやることが、おありなのでしょうから…」
彼の言葉にハッとして、彼女は離れた。
「…そ、そう、ですね…」
(夢中になりすぎちゃった…長谷部さん、困ってたかな…)
彼女を心配するふりをしていたが、長谷部が言い出した理由は違っていた。
これ以上主と触れ合っていたら、いよいよ高ぶった熱を放出しなければ気が済まなくなる。そう踏んだからだ。
先ほどから、股関がピクピクと脈を打っている。
このままではこれに手を触れずとも、耳の愛撫をしあっているだけで果てるかもしれない。そんな予感すらさせるほど、長谷部にとって、この状態は危ういものだった。