第14章 ◆番外編1「猥本」
そして鶴丸さんは私にその猥本を手渡してきて、頭を撫でてくる。
「よし主。なら愛しの長谷部を悦ばせたいだろう? ほら、この本で勉強するといい。参考になると思うぜ」
「そうなんですか…?」
「だって主、夜の方は長谷部に任せっきりなんじゃないか? あーあ、たまには尽くしてやらないと嫌われちゃうぜ。長谷部だって男だからな、好いてる女には床上手でいてほしいに決まってるさ」
「いや主、鶴さんの言うことは本気にすることないからね。たしかに男なら誰でもそう思うけど…彼は相手が主なら何だって嬉しいんだろうから」
男なら誰でもそう思う、か……。
燭台切さんもそう言うなら、長谷部さんだってきっとそう思うんだろう。
床上手なほうがいい、って。
たしかに私、長谷部さんに何でも任せっきりだ。
このままじゃ嫌われちゃうの…?
「……主? 大丈夫? おーい主?」
「はいっ…頑張ってみます! 鶴丸さん、燭台切さん、ありがとうございます!」
「…いやいや。本当に大丈夫かい?」
私はもらった猥本をにぎりしめ、自室へと戻った。