第13章 ◆愛のすべて ★★★★★
「おはよう、主」
「…あれ…皆さん…?」
まずは苦笑いの燭台切、そしてその後ろに大勢の刀剣男士たちがいる光景がぼんやりと見えてきて、彼女は首を傾げる。
しかし、自分の体が長谷部の腕に包まれていることに気づくと、真っ赤になって慌てだした。
その動きで長谷部も唸りだす。
「…ん…あるじ…?」
「は、長谷部さんっ…起きて下さいっ…」
「いかがされました…?」
「おはよう長谷部くん」
「なっ…!?」
長谷部もこの状況を理解し一瞬で頭が冴えたものの、主が薄着のため彼女をここで離すことができなかった。
気を利かせた燭台切が主に羽織りを渡し、彼女はそれを恥ずかしそうに身に付けながら体を起こす。
長谷部もそれを手伝った。
「随分と綺麗に治せるものだな」
三日月が感心しながら言うと、長谷部は「主のお力だ」と答えながら彼女の肩を支えた。
「言っておくが、俺と主は別にっ、昨夜は手入れをしていただいただけでっ…」
さすがの長谷部も羞恥から嘘ばかりの言い訳を始めようとした。
が、その途中で、燭台切が長谷部の肩に手を置いた。
「長谷部くん。……無事で良かった」
かすかな涙声でそう微笑む燭台切。
「燭台切…」
気づけば後ろの皆も、同じ笑顔を長谷部へ向けている。
「長谷部隊長! よかったっ…」
「僕たち、本当にもう目覚めないんじゃないかって不安でっ…!」
「ったく、本当に昨日は肝が冷えたんだぜ」
「もうダメかと思いましたな」
皆が心配していたのだ。
長谷部の無事を。