第1章 ◆夜伽の通達 ★☆☆☆☆
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審神者となって一年が過ぎようとしていた。
神様に等しい刀剣男士たちに、危ない任務を命じること。そんな身に余ることが私にできるのかと不安だったけれど…ようやく本丸にも慣れて、皆の力になれるようになってきた。
嬉しい。毎日が充実している。
皆のために、前向きに頑張れている。
それもこれも…
「主、よろしいですか。第二部隊の編成ですが、力の均衡を鑑みまして、いくつかご提案したいことがございます」
「長谷部さん…! はい、お聞きします」
現在、私の近侍としてそばにいてくださる、へし切長谷部さん。
彼の力が大きかった。
私が障子を開けると、そこには任務から戻ってきたばかりとは思えないほど凛とした、いつもの長谷部さんが立っていた。
外はもうすっかり夜になっていて、短刀たちは眠り、鶴丸さんや燭台切さんたち第一部隊は、広間で任務を終えた祝杯をあげているはず。
隊長の長谷部さんは、行かなくていいのかな…。
私が今日は編成について考えたいと言ってお酒をお断りしたから、気をつかって下さっているのだろうか。
「主、遅い時間に申し訳ありません」
「いいえ、私も、長谷部さんを付き合わせてしまったようで、ごめんなさい…」
「主、そんな…。 俺は近侍なのですから、お一人で悩まず、もっと頼っていただきたいのですが…」
長谷部さんは切ない顔でそう言った。
ここへ来てすぐのころは表情の堅かった彼も、今はこうして柔らかい表情を見せてくれるようになった。
それがどんなに嬉しくて、彼の顔を見るたび、私がどれほど舞い上がっているか…。