第13章 ◆愛のすべて ★★★★★
「…ハァ…ハァ…ハァ…」
覆い被さった姿勢のまま、二人はしばらく熱い息をしていた。
やがてしっとりと重ねていた肌を少し離し、触れるだけの口付けをする。
ぼうっとした瞳で見つめ合いながらやがてお互いに正気を取り戻すと、主は長谷部の腹部に触れ、傷を確認した。
「…治ってる…」
そこには長谷部の滑らかな肌があるだけで、傷はおろか傷痕さえ残っていない。
これには長谷部も改めて感嘆の声を漏らした。
「これが、御霊を得た主の力なのですね…。すごいです、主…本当に、何とお礼を申し上げたらいいかっ……」
「……私だけの力じゃないです。長谷部さんと、二人の力です…良かった、長谷部さんが無事で…。長谷部さんがいなきゃ、私…生きていけませんから…」
「…主っ…」
二人は体を起し、再度、口付ける。
──そして夜が明けるまで、いつまでも抱き合ったのだった。