第13章 ◆愛のすべて ★★★★★
薄暗い熱気の中で二人は重なり、影が床に落ちている。
それは一緒に揺れながら、一つになったり分かれたりを繰り返す。
そこかしこを染めていたはずの血は、一滴残らず、蛍の光のように空気中に消えていき、二人の綺麗になった体を照らしていた。
「主、すみませんっ、もうイきそうですっ…」
「はいっ…私、もっ…一緒にっ…」
幻想的な空間でも、痺れるような快感に抗えない二人は大胆に下半身をぶつけ合う。
「ハァッ…ハァッ…主っ…主っ…!」
もう達するというとき、長谷部は彼女に被さって、愛おしく腕の中に抱いた。
「長谷部さんっ…長谷部さんっ…!」
彼女も応え、長谷部の肩から背へと腕をまわし、しがみつく。
密着した体の奥で、ずっと欲しかったお互いの愛が溢れだしていた。
「あ、あっ、あっ、主っ、もうっ、出っ、ぁああっ…ああああっ……………!」
長谷部は達する直前、最後の理性で彼女からモノを抜き、手近にあった自分の服に体液を吐き出した。