第12章 ◆長谷部の恋 ★★☆☆☆
しかしそのとき、庭の時空が歪み、そこから長谷部を抱えた燭台切が現れたのである。
「長谷部さんっ!!」
「光坊!! 長谷部!! 戻ったか!! 」
主はすぐに鶴丸の腕の中から抜け出し、意識を失っている長谷部のもとへ駆け付けた。
「僕が着くころには検非違使は長谷部くんが殲滅してくれたんだけど、このとおりだよ。皆、今すぐありったけの資材を手入れ部屋に運んで」
長谷部は腹部に刺し傷、両腕・両足すべてに無数の切り傷があり、頭からは滝のように血が流れ出している。
燭台切も中傷程度の傷を負っていたが、長谷部の容態はその比ではない。
「主。すぐに手入れ部屋に入ろう」
「は、はいっ……嘘っ…やだぁ…長谷部さんっ…」
「大丈夫だよ。しっかりして。主が手入れをするんだから」
主は燭台切に、というより、彼の抱える長谷部に着いていき、刀剣男士たちも資材を持って手入れ部屋へと急いだ。