第11章 ◆早朝の釈明 ★★★★☆
その後、暗い顔をした長谷部さんと燭台切さん、短刀たちの一行は、遡行軍が出没した時代へと出陣した。
今回の出陣は、以前討伐した遡行軍の残党がいないか見回り、不足した資材を集めること、そして短刀たちの育成が目的である。
部隊長は長谷部さんにおまかせしたから、きっと寄り道せずに帰ってきてくれる。
夕方には戻るだろうから、私も心の準備をしておかなくちゃ。
一方、本丸ではいつもと変わらない日常が流れていた。
鶴丸さんには昨夜のことを聞かれたけど、曖昧に誤魔化した。
「主は長谷部のことどう思ってんの?」なんて質問もされたけど…その返事は、まずは長谷部さんに直接伝えたいから。
もうすぐお話できる。
私の気持ち。
ちゃんと話して、今度こそ長谷部さんと恋人になりたい。
そう思っていた。
このときの私は、明るい未来に胸を弾ませているだけで……
──長谷部さんが無事に帰らないなんて、考えもしなかったのだ。