第11章 ◆早朝の釈明 ★★★★☆
ものすごく落ち込んだ様子の長谷部さんが外へ出ていった。
座布団を出して燭台切さんに座ってもらい、私も向き合って座った。
もちろん、彼は困惑している様子だった。
「どうしたの? 長谷部くんには内緒の話?」
「……はい」
「オッケー、聞くよ」
私は深呼吸をして、話し出す。
「………昨夜の、長谷部さんの言ったことについてなんですが…」
「うん」
「私のことを好きだと言っていたんです。ずっと好きだった、って」
「………えぇー…と…待って、本当に? 彼言っちゃったの?」
「はい。心も体も、自分のものにしたい、と」
燭台切さんはまた頭痛を抑えるように頭に手を置いてから、気を取り直して話を再開する。
「…それで、主は返事をしたの?」
「できなかったんです。頭が真っ白になってしまって…」
「そうだよね…」
「でも、お返事したいんです。酔っていたとはいえ、言葉にしていただいた気持ちをあやふやにしたくありません。…かといって、長谷部さんが言ったことを覚えていないのに突然お返事したら混乱するでしょうし…」
「なるほど。僕から長谷部くんに、昨夜のことを話しておけばいいってことかな?」
さすが燭台切さんはすぐに察してくれて、笑顔になってくれた。
私がどう返事をするのかも聞いてこない。
きっと、私が長谷部さんに一番に伝えたいということを分かってくれているからだ。