第11章 ◆早朝の釈明 ★★★★☆
長谷部さんは顔を上げても、泣いてしまいそうなくらい焦っている。
すぐにでも「嬉しかったです」と答えてあげたかったけど、そばに燭台切さんがいるため恥ずかしくてとても今は言えない。
「長谷部くん酔ってたからね。つい思ってもみないこと言っちゃったんだよね?」
燭台切さんに促されると、長谷部さんは大きく頷いた。
「主を俺のものなどと、もちろん思っておりません! 思っていませんがっ…その、近侍として主の一番の刀でありたいと…それが言葉に出てしまったのだと思います…!」
「だってさ、主。僕たちが飲ませちゃっただけだし、大目に見てあげてね」
私は反応に困ってしまった。
そうか、宴会ではそこまでしか言ってなかったから、好きって言ってくれたことは、燭台切さんも知らないんだ…。
何て答えようかしばらく考えていたが、神の審判を待っているかのような長谷部さんを目の前にすると、とてもここで本当のことは言えそうにないと思った。
「わかりました。長谷部さん、先に朝食に行ってもらえますか? 私は燭台切さんと、後からいただきます」
「えっ? 僕?」
「…主? 何故です?」
「燭台切さんにお話したいことがあるので。…ごめんなさい、長谷部さんは、席を外して下さい」
「………主っ…そんな…」
可哀想かもしれないけど…。
私にはこうするしか思い付かなかった。