第11章 ◆早朝の釈明 ★★★★☆
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しかし、私が着替えを終えてもう部屋を出ようとすると、同じタイミングで「主! 主!」と長谷部さんが戻ってくる声が響いた。
出ていってから、ほんの数分だ。
部屋の中から「はい。どうしましたか?」と声をかけると、障子が開き、真っ赤な顔で取り乱した様子の長谷部さんと、苦笑いの燭台切さんが部屋へ入ってきた。
…そっか、さっそく燭台切さんが話してくれたんだ。
長谷部さんは私の足元で土下座をしだす。
「申し訳ございません主っ! 燭台切から聞きました…! 昨夜、宴会の席で大変失礼なことを言ったようで…!」
「長谷部さん」
「主のことをその…お、お、お、俺のものなどと…」
「長谷部さん。大丈夫ですから」
まずは怒っていないことを伝えたくて、長谷部さんと同じ高さまで腰を下ろし、床についている手に私の手を重ねた。
「主っ…」
「失礼だなんて思っていませんよ。大丈夫です」