第11章 ◆早朝の釈明 ★★★★☆
(昨日のことはなかったことになってる…。それじゃあ、まだ恋人同士にはなれないの…?)
昨夜の出来事を考えれば恋人同士になるなどあまりにも簡単なことに思えるのに、彼女にその自覚はない。
すっかり酔いの覚めた長谷部の顔を、まるで彼が恋からも冷めてしまったように錯覚したのだ。
──ヒュッ
そんな中、さっそく朝の矢文が布団の傍らに突き刺さった。
布団にくるまる主に代わり、長谷部が文を開く。
『近侍は審神者に口淫しながら、指を挿入する』
慣れたもので、長谷部はこの程度では動揺することもなく手袋を外し始めた。
「長谷部さん、何て書いてありました…?」
「秘密です。さあ主、始めますよ」
「ええっ!?」
彼はそう宣言し、文を畳んでさっさと仕舞った。
いつもと違い、主の体はまだ布団の中に隠されている。
長谷部は、それなら今回はこの状況を楽しもうと彼女の足元から布団に潜りこんだ。