第11章 ◆早朝の釈明 ★★★★☆
主は布団の中で固まり、混乱していた。
「……いえ、昨夜はこの部屋までお見送りしていただきましたよ…?」
「本当ですか? 実は…情けないのですが、宴会の途中から記憶がないのです。お見送りできていたのならよかった」
「…覚えてないんですか?…昨日のこと」
「ええ…、俺は何か失礼をしましたか?」
(嘘……。じゃあ、私に好きって言ったことも覚えてないの?)
主はとりあえず、寝返りをうって長谷部のほうを向いた。
嘘を言っている顔ではない。
告白の返事をしようと身構えていた彼女だが、それがまるで野暮のようで切り出すことができなくなった。
「………失礼なことは、何もなかったです」
「そうですか、よかった」
自己完結した長谷部に、主は口をつぐむ。