第10章 ◆酔いの告白★★★☆☆
相手の気持ちが分かっていても、自分の気持ちを言葉にしようとするとなかなか出てこなかった。
こんなにたくさん好きだと言ってくれた長谷部さんに匹敵するような言葉が見つからないのだ。
長谷部さんのこと、きっと私の方が、何倍も好きだと思う。
大好き、大好き、大好き…。
「……本当に、もらっていいんですか?」
長谷部さんが熱い瞳を揺らしてそう言った。
「もちろんです!」
「………主…」
「…んっ…」
また口づけをされると、今度は両手で手首を捕らえられ、畳に押し付けられた。
手の甲に畳の跡がつきそうなくらい強い力だ。
「んっ……はへふぇ、さん……」
苦しくて口づけの合間に訴えかけても長谷部さんは取り合ってくれず、私を捕らえているだけで離そうとしない。
私は顔を背け、一旦唇から逃れた。
「長谷部さんっ、あの、今はダメですよ…?」
これ以上のことをされる予感がしている。
彼の野性的に変貌した瞳が、ここで私を最後まで食いつくすと言っているように見えたのだ。
それは今はできない。
夜伽の指示に従わなくてはならない。
「…主…全部欲しいんです…」
「で、でもっ、手順を守らなきゃっ…今は口づけしかできないんですっ」
「好きです…主…」
長谷部さんの唇が私を追いかけてくる。
それと同時に、手首にかけられている握力もぐっと強くなった。
このままじゃまずい…!
長谷部さんは本当に酔っていて、理性を失っている。
なんとかしなきゃ…!