第10章 ◆酔いの告白★★★☆☆
布団がないせいか、いつもと違い乱暴にされているように感じた。
もちろん酔っていても長谷部さんは私に痛いことなどしないけど、畳を背に押し倒されるのは初めてで、圧迫感がある。
「んっ…ん…」
長谷部さんは体も息も熱くて、こちらに酔いが移りそうなほどお酒の甘い香りがしている。
「んんっ…」
いつもより息苦しい。
多分、今までは口づけをするとき私に息継ぎをするタイミングをくれていたのに、今日はそれがないからだ。
長谷部さんは器用に鼻で呼吸をしているのに、それが下手な私はねじ込まれる舌の隙間から空気を吸うしかない。
「ハァッ…あるじっ…」
唇が解放されたかと思っても、私に逃げ場を残さないようにのしかかる彼の体は体重をかけてくるばかり。
…いつもと様子が違う。
室内灯のぼんやりとした明かりはあるものの、それは私たちを薄暗く照らし、湿った緊張感が走っている。
「…長谷部さん…?」
「主…きれいです…」
虚ろな瞳と前髪を揺らしながら、彼は言った。
唐突に褒められて戸惑ったが、それも含めて長谷部さんがすごく酔っていることが分かる。
しかし嬉しさは隠せなかった。
長谷部さんに褒められて嬉しい。
…本音なのかな?
「……綺麗だなんて、そんな…」
「きれいです…心も体も…全部…」
「………長谷部さん…」
「全部くれませんか…俺に…」
「えっ…?」
「全部欲しいんです…全部俺のものにしたい…。さっき山姥切と何を話していたんですか…俺より奴が好きなんですか…?」
「え、あの…好きとか、そんなっ…え…?」
「俺は主が好きなんです…主も同じだったらいいのに…」
え……?
なにこれ……夢……?