第10章 ◆酔いの告白★★★☆☆
ほぼ告白している長谷部にお手上げ状態の燭台切に代わり、今度は山姥切が割って入った。
「…長谷部。後悔するぞ。部屋へ戻れ」
彼は主の手首を引っ張り、力ずくで長谷部から奪うと、背後へと避難させる。
混乱のせいで茹でダコのように真っ赤になった主は使い物にならず、されるがままになるだけ。
主を奪われた長谷部は今度は相手が山姥切ということもあり、敵意むき出しで応戦した。
「ふん。初期刀だかなんだか知らないが調子に乗るな。主は俺が一番だと言って下さった。ねえ? 主」
「………そ、そうですね…」
「分かった長谷部。お前が一番なのは承知してる」
「それだけじゃない。俺と主はもっと特別なもので繋がっている」
主は、このままでは酔った長谷部が色々と暴露してしまうのではないか、と不安になった。
山姥切も同様に、長谷部の言う「特別なもの」とは先ほど聞かされた夜伽のことだろうと気付き、このまま大勢の前で話されれば大混乱になることは予想できた。
「ほう…。長谷部、その特別なものとは?」
高みの見物をする三日月がそう切り込む。
そこでついに、これはまずいと焦った主が長谷部の腕を掴み、苦笑いで引っ張った。
「あはは…もう、長谷部さんたら酔ってるんですから。さ、さあ、このままでは明日に響きますから、お部屋に戻りましょう」
「主…可愛」
「ほらほら長谷部さん行きましょう! 私ももう休むので、ついでにお部屋へお送りしますよ! 皆さんはどうぞご歓談下さいね! それじゃあ!」
主は心配そうに見ていた山姥切に「大丈夫です」と目配せをすると、ドタドタと長谷部を引っ張って出ていった。