第10章 ◆酔いの告白★★★☆☆
「分かった。あんたが苦痛に感じていないなら、これ以上はいい。何かあれば俺に言え。想っている相手には言いずらいこともあるだろ」
「山姥切さん…ありがとうございます」
秘密を共有できたことで、主は安堵した。
想い人である長谷部には言えないこともある、たしかにそうだと彼女は感じた。
さっそく、モジモジと手を動かしながら、相談を持ちかける。
「あの…山姥切さんは、どう思います? 長谷部さんと私のこと…」
「………それは、色恋がどうなるかって話か?」
ずばり言い直され、主はさらに小さくなる。
「可能性は…あると思いますか…? も、もちろん分かってます! 付喪神であるお相手と、ただの人間である私なんて釣り合わないこと…」
「…そんなことはないだろ。あんたと長谷部、そうだな……本当は俺から言えることじゃないが、見てれば分かる。言っていいのか?」
「はい! どう思いますか?」
気になりすぎた主は山姥切の両肩を掴み、鼻先をぐっと近づけた。
神妙な顔で答えを待つが、そのとき──
「主! 何をしているんですか!」
やってきた長谷部が主の体を抱え込み、山姥切から引き剥がした。