第10章 ◆酔いの告白★★★☆☆
しかし案の定、酔いの回った鶴丸が燭台切を引き連れて、長谷部のもとへやってきた。
「主! 長谷部! こんなところで猥談か?」
「ちょっと鶴さん酔いすぎだよ」
鶴丸をたしなめながら、燭台切も「二人もこっちに来て飲んだら?」と誘う。
しかし主は本当に酒が苦手であり、以前無理して飲んでベロベロになったことがあるため、長谷部は彼女を思って「今夜はやめておく」と首を横に振った。
「長谷部さん。私に付き合って下さらなくても大丈夫ですよ。是非皆さんとお酒を飲んできて下さい」
「いえ、しかし…」
「私は少し、他の方々ともお話してきますので」
主にそう言われ、ショックを隠せない長谷部。
もちろん彼女は長谷部が遠慮しないよう気を遣っただけなのだが。
主は長谷部が離席しやすいよう、一人で飲んでいた山姥切を呼んだ。
「山姥切さーん。こっちに来てくださーい」
山姥切は素直にこちらへやって来て、主の隣に座る。
自分がいるのに他の男を呼び寄せたことに「そんなっ、主っ」と抗議した長谷部だが、その長谷部の腕を鶴丸が掴んでズルズルと連行していく。
「ほら長谷部! こっちで飲むぞ! たまには主を解放してやれ!」
「離せ鶴丸! 主! 主ぃー!」
「ふふふ、いってらっしゃい長谷部さん」
向こうへ引きずられていく長谷部に手をふって、主は隣に来た山姥切に酒をそそいだ。