第9章 ◆情熱合わせ ★★★★☆
─ぬちゅっ…ぬちゅっ…─
擦れている部分は卑猥な音を立て、どちらのものとも分からない体液で滑らかに動いている。
壁に手をついて身を震わす彼女を、俺は征服するかのごとく背後から攻める、これはいつか彼女に挿入するときと同じ景色なのだろうか。
きっと初めて挿入するときはこの体勢ではない。
主が痛みを感じればすぐに分かるよう、俺は正面からお顔を確認できるような体勢をとるだろう。
だから今の体勢は、初めてを終えた後の、もっと先で見るだろう景色だ。
「あっ…あっ…長谷部さんっ…気持ちぃっ…」
……終えた後……?
俺と主は身体を繋げた後、どうなる……?
お互いを高めて身体を繋げることで、主の霊力を強める。
それならばやはり、身体を繋げれば政府からの夜伽の指示も終わるのだろう。
指示がこなくなれば、俺は主と何もできない。
もう彼女と身体を絡めることも、口づけをすることも、彼女を抱き締めることさえできなくなる。
それどころか、約束したとおりにいつか俺の想いを口にすれば、言葉を交わしてくれなくなるかもしれない。
会えなくなるかもしれない。
もうこんなことまでしてしまったのに。俺は主と触れ合わなければ耐えられないのに。
「あっ…んっ…長谷部、さん…?」
このまま時が止まってしまえばいい。
ずっと俺が主を独占していたい。
すべてが終わっても、そばにいてほしい。