第2章 ◆耳元で愛を ★★☆☆☆
(主も緊張して、体が硬くなっている…)
新鮮な反応を見せる彼女が愛しくなり、ついそのまま抱き寄せてしまいそうになるが、それは許されていない。
もし我慢できず通達以上のことをすれば、それは主命に逆らうことであり、自分の欲望も勘づかれてしまう。
「…主、触れますよ」
指先で右の耳に触れると、彼女はピクリと瞼を震わせた。
耳たぶを指の腹で味わうように触れ、次に側面、そこに髪をかけて整えたりと、長谷部は夢中になって触れた。
(…ああ、これだけでも、夢のようだ…)
気づけば両手で、彼女の両耳に触れていた。
主は目を開けたままで、熱のこもった視線を向けてくる。
「あの、長谷部さん……」
「は、はい」
手を止めた。
(しまった、夢中になりすぎた……)
最初は耳しか触れられないのかと落胆していたはずなのに、彼女の体に触れられることに体の芯からのぼせ上がり、ただ夢中で触れていた。
嫌だっただろうか。不安になり、彼女と目を合わせた。
「すごいです、長谷部さん…耳って、ほんとに、気持ちいいんですね……」
主は目を細めて、そう言った。
(っ……だめ、だ……)
カッと発火する勢いで体温が上昇し、長谷部はたまらず前のめりになった。
もっと主を気持ちよくして差し上げたい。もっと主に触れたい。
長谷部のそんな欲求は荒い吐息となって現れた。