第8章 ◆媚薬の誘い ★★★☆☆
「…でも…」
もう不用意に彼の下半身に触れたりはしないけど、それでも苦しんだままにして諦める決心まではつかない。
「私だって長谷部さんが大切なんです…」
『挿入をしてはならない』という制限さえなければ、この体を差し出すことができた。
初めてでも関係ない。痛くても、長谷部さんと体を繋げて気持ちよくなってもらえるなら本望なのに。
今はそれができないから、私には手立てがない。
長谷部さんを気持ちよくしてあげられる方法が見つからないことが、すごく悔しい。
「…主…」
私がここまで泣くことは、長谷部さんにとっては予想外だったらしい。
少し困惑する様子を見せている。
「私も長谷部さんに我慢させたくないのに…私は、長谷部さんに何もしてあげられないんですねっ…悔しい……」
「…主っ…泣かないで下さい…」
長谷部さんは肩で息をしながらも、私の頭を撫でて慰めてくれた。
つらいのは長谷部さんなのに、また心配させて、私って本当に情けない…。
「私も長谷部さんの力になりたい……」
「そんなっ…俺のためにそこまで悩んでくださってありがとうございます…。あの、主っ…もし、お嫌でなければ、少しだけ、ご協力いただきたいことがあるのですがっ……」
私の涙を指で拭いながら、長谷部さんは申し訳なさそうにそう言った。
「何ですか!? 何でもします!」
目を輝かせた私を、長谷部さんはもう一度抱き締めた───