第8章 ◆媚薬の誘い ★★★☆☆
「ああっ…はあ…はあっ…」
軽くイッたような快感が通りすぎていった。
しかしもっと欲しいと下半身がピクピクしているのが自分でも分かる。
「ハァッ…ハァ……」
長谷部さんもしゃくりあげるほどの息をしている。
それに、後ろから引き寄せられているせいで、彼の大きくなったモノが先ほどから私のお尻にあたっているのだ。
そうだ、私を触っているだけで、長谷部さんが満足できるはずない。
長谷部さんも気持ちよくならなきゃ。
「長谷部さん…私、舐めますから…。ね?」
再度、そう申告した。
一度提案したはずなのに彼はそれを実行しようとしないから、今度は私から、向き合って彼の下半身に軽く触れた。
「っ…駄目です、絶対に、そんなことをしていただくわけにはいきませんっ…」
まただ。口ですると言っているのに、頑なに拒否をされる。
手を掴んで払われ、その手は行き場がなくなった。
私はもう相手が長谷部さんなら抵抗なんてないのに。どうして?
「長谷部さん…」
「言ったでしょう、貴女をそんなふうに扱いたくないっ…。あの夜とは状況が違います。今は湯殿でもありませんし、身を清めてもいない。それを貴女の口に突っ込むようなマネはできません! 絶対に!」
「どうしてそんなに…」
「貴女が大切だからです!」
長谷部さん……。
私は涙が出てきた。
彼は本気だ。私のために自分を律して、最後まで我慢を貫くつもりなんだ。
そこまでの決意で接してくれていたなんて、私は長谷部さんを見くびっていた。
私が考えているよりも、もっと頑固で、忍耐強くて、誠実な人だ。