第8章 ◆媚薬の誘い ★★★☆☆
抱きしめられる力は一瞬で強さを増していき、息苦しく感じるほどになった。
あまりに力を込められるので私の足は浮き、長谷部さんと同化していく。
「は、長谷部さん、苦しいですっ…」
「主っ…主っ…柔らかいっ…」
首のあたりにぐりぐりと顔を埋められ、匂いを嗅がれている。
さすがに恥ずかしくて身じろぎしても、強い力にまったく抗えない。
長谷部さんの息、すごく熱い…。
さっきから首もとにかかる荒い息は、私の身体も熱くしていった。
続いて彼は頭を持ち上げて、私の唇に大胆に舌をねじ込んでくる。
「ん…んんっ…」
脳まで痺れるような口づけ。これは口づけというより、長谷部さんが私の口のなかを貪っている。
「主っ…すみませんっ…主が欲しいんですっ…今すぐに…」
「…は、はいっ…」
許可を出した途端に激しさが増した。
長谷部さんは口づけをしたまま私の腰を引き寄せて浮かせ、今度は私を壁際まで追いやった。
背中の壁と襲いかかる長谷部さんとで挟まれ、身動きがとれない。
「主っ、こちらへっ……」
「きゃっ…!」
私が苦しそうにしていたからか、長谷部さんは私を反転させ、壁に手をつかせた。
改めて後ろから抱きつかれて、うなじのあたりに顔を埋められる。
すると、すぐに着物の中に手が滑り込んできた。
太もものあたりから入って直接脚の間をなぞり始めるのがひとつと、袖から入り込んできて胸を揉み始めるのがひとつ。
「あっ…あん…」
同時に二ヶ所、しかもあれよあれよという間に素肌に与えられていく刺激に、私は身体が震えた。
いつもの柔らかい動きではなくて、初めから速度のある規則的な動き。
脚の間ではグチョグチョと音が鳴っている。
「あっ、あっ、長谷部、さんっ、だめぇっ…」
私が壁に体をくっつけて逃げても、長谷部さんの指は刺激を弱めることなく、どこまでもついてくる。