第8章 ◆媚薬の誘い ★★★☆☆
まずは外から丸見えのこの場所を何とかしよう。
祠には観音開きの扉がついているので、開かれているそれを私は内側から閉めきった。
扉に透かし彫りがされているため完全には隠れないけど、中は薄暗くなり、何をしているか外からは簡単には分からないはず。
「主?」
私を見ないようにしていた長谷部さんも、準備を始める様子に怪訝そうな目を向ける。
「ほら、これで見えなくなりました。お地蔵さまには目を瞑っていてもらいましょう?」
「なっ…」
「私、長谷部さんが苦しんでいるのはイヤなんです…。この間みたいに、私が口でします」
「何を言っているんですかっ…! そんなこと…無理ですっ…」
拒否の言葉を絞り出している彼の下半身は、服の上からでも分かるくらいに大きく膨れていた。
本心では、これを静めたいと思っているはず。
それなのにここまでむきになって断るのは、私のことを考えてくれているからだ。
「長谷部さん…」
私は一歩彼に近づいて、間合いに入った。
長谷部さんは後退りをするけど、そのまま壁際まで追いやり、逃げ場をなくしていく。
「主っ、お願いです、待ってくださいっ」
「長谷部さん、我慢しないで…。これは主命ですから」
「…待っ…て、くださいっ…」
なびかない長谷部さんを押さえつける要領で、腕を伸ばして抱きついた。
ぴたりと彼の胸板に体を密着させ、背中に回した腕をしっかりと組んで逃がさないようにする。
「主っ…」
長谷部さんの体はしばらく落ち着かなくて、私との間に隙間ができることもあったけど、私はそれを埋めていく。
やがて長谷部さんの背は壁際にくっつき、そしてそこに押し付けるようにして私が抱きついていた。
長谷部さんは体を震わせながら、やがて私の背に腕を回してくれる。