第8章 ◆媚薬の誘い ★★★☆☆
あまり長くしている余裕はないからか、長谷部さんは早々に胸の先に触れ始め、その後すぐに、それを口に含んだ。
─ちゅぱ……─
「あ…」
やっぱり気持ちいい…。こんな状況では手短に済ませないといけないけど、それでももっとしてほしいと思ってしまう…。
「主…声は出してはいけませんよ」
「そ、そうでした…」
いくら誰もいないとはいえ、声を出したらきづかれてしまう。
この区画の向こうには人がいるのに…私たち、すごいことしてるよね…。
「ん……んん…」
長谷部さんの舌が、私の胸先をなじってる。気持ちいい…。
それに私、誰も来てほしくないって思うのに、誰かに見られるんじゃないかと思うと興奮してる。
……私って、下品なのかなぁ…
すると、ここへの入り口に誰かがやってきた。
お客さんのようで、棚の商品を手にとって眺めている。
「…長谷部さんっ…誰か来ました」
「っ…分かりました」
小声でそう知らせたものの、私はパニックになっていた。
長谷部さんが盾になってくれているから何をしてるかは見えないらしいけど、こんな状態で私は胸まではだけている。
「長谷部さんっ…長谷部さんっ…」
どうしたらいいか分からなくて長谷部さんに抱きつくと、そのまま私を装束の中に取り込むように、抱きしめてくれた。
「………このままやりすごしましょう」
このまま…?
どうしよう…心臓の音が聞こえちゃうよ…。
目を閉じて身を任せてみると、ふわりと長谷部さんの匂いがしてくる。
清潔ないい香りだけど…少し男の人の匂いもして…
心地よさにぼんやりとしながら、しばらく長谷部さんの腕の中に収まっていた。