第8章 ◆媚薬の誘い ★★★☆☆
私が困って長谷部さんに目線を送ると、彼は周囲を見渡しながら、陳列棚の奥へと私の背に触れて誘導してくれた。
そこは高価な品ばかりが並んでいて、私たちの他には誰もいない。
「長谷部さん…どうするんですか?」
「主…万屋の外は人通りがありますし、かといって本丸に戻る時間もありません。…ここでするしかないかと」
「えぇ!?」
たしかに私もそれしかない気もしてたけど…でも、こんなところで…
誰か来るかもしれないし…
「ほ、ほんとに、ここでするんですか…?」
「主。ここに立って下さい」
長谷部さんは私を壁際に立たせ、私を囲う要領で彼も向き合って立った。
すると長谷部さんの綺麗な顔と、立派な装束がすぐ目の前に現れる。
…長谷部さんって…背高いんだなぁ…
って、そんなこと考えてる場合じゃなくて!
「長谷部さんっ…誰か来ちゃったらっ…」
「落ち着いて下さい。主は周囲を見て、もし誰か来たら知らせて下さい。そのときは俺が隠します」
「えっ…えっ…あのっ…」
「……失礼します、少し脱がせますよ」
長谷部さんはそれだけ説明すると、私の着物の襟に手をかけた。
ゆっくり肩から落とされて、私のうなじから肩、そして胸元までが露になる。
「やっ…」
お店の中でこんな格好をするなんて…
手で隠しても、長谷部さんの手がそれをどけて、私の胸元を開いてしまった。
「長谷部さん…恥ずかしいです…」
「主…大丈夫です、俺以外には誰にも見せませんから」
もちろん長谷部さん以外に見せるつもりなんてないけど、それでもこの状態は恥ずかしいよ…。
長谷部さんは少しかがんで、私の胸を付け根からゆっくりと揉み始めた。
「…んっ…」
マッサージのような気持ち良さに身を任せながらも、言われたとおりに長谷部さんの向こうに誰もいないことを確認する。
「……主の体は綺麗ですね。明るい場所で見ると、なおさら…」
「やだ…あんまり見ないでくださいっ…」