第2章 ◆耳元で愛を ★★☆☆☆
◆◆◆◆
…夜になってしまった。
もうすぐ、長谷部さんがここに来る。
どうしよう…。ドキドキして止まらないよ…。
通達とは言え、長谷部さんにこんなことをお願いすることになってしまって、きっと困らせたと思う。
長谷部さんも「主命なら」と言ってくれたから、私はそれに甘えて…。
…でも本当のことだから。
御霊を分けてもらうために誰かを選らばなければならないなら、それは長谷部さん以外にはお願いできない。
いつも以上に触れてもらえるのかも、とドキドキする気持ちもあるけれど、それ以上に緊張するし、何か失敗して不快な思いをさせてしまったらと思うと、怖くもあった。
『…主。いらっしゃいますか』
…わっ…どうしよう…
「は、はい…どうぞ…」
襖を開けて、着流し姿の長谷部さんが現れた。
─ドキン─
いつもは、どんなに遅い時間でも、出陣と同じ服を来ているのに。
今日は着流しだ。
…それって、今夜のことを意識しているから…?