第7章 ◆快楽の奉仕 ★★★★★
「……ん……」
激しく頭を動かしていた反動からか、ぼんやりと長谷部にされるがままとなっていた主は、やっと言葉を発した。
「主っ! 大丈夫ですか…!?」
長谷部が覗き込んでいる。最中のあの扇情的な表情から、すぐにこんな不安そうな顔に変わっていることが、とても彼らしいと彼女は思った。
温かい湯の中で抱かれ、いつも以上に長谷部の温もりを感じる。
先程の激しい行為も、今のまどろんだ温もりも、彼女は幸福に感じていた。
「…長谷部さん…」
「主っ…!」
長谷部は、腕の中ですっかり弱ってしまったように見える彼女が、本気で心配だった。
「申し訳ありませんでしたっ…許されることではないと分かっています…我を忘れてしまって…。もう二度としないと誓いますので…どうか…どうかっ…」
長谷部の体は震えていた。
「長谷部さん…気持ち良かったですか…?」
主はかすれる声でそう尋ねる。
長谷部は申し訳なさから控えめに、しかし正直に感想を述べた。
「……はいっ…とても。主に無理をさせてしまっていると分かっていたのに、あまりに気持ちが良くて…もう、天の国に行ったような心地で…それで、俺は…」
主は湯の中にあった手を、長谷部の頬へと伸ばし、そっと触れた。
「主……?」
「よかった…。長谷部さんに気持ち良くなってもらえて。嬉しい…」
「…っ」
溶けそうな笑みを浮かべながらそう言った主に、長谷部は感情の糸が切れた。