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道の交わる時

第10章 過去の記憶


清光は一人で出陣して行った。
行き先は函館。土方歳三が亡くなった時期らしい。
清光は沖田総司の刀だったらしいので、大丈夫かと、心配したが、そちらは杞憂に終わった。そちらは。

「加州様が帰ってきました」
本丸にある時空移転装置が光って、一瞬してから清光の姿が現れた。
清光はぼろぼろだった。
「...っ!?」
「はは...ごめん主、ちょっと手こずっちゃったや」
清光が言った。
「...こんのすけ」
は低い声で言った。この狐は、大丈夫だから、と言って加州を出陣させた。
「折れてはいません」
この言葉には剣呑に目を細めた。
こんのすけはどこ吹く風で言う。
「手入れ、というものをすれば、傷は治ります」
「...なるほど。手入れで簡単に治るから、大丈夫だ、と?」
「はい」
いけしゃあしゃあと言うこんのすけには一発くらい殴っても許されるのでは、と思った。そしてそれと同時に、安易に加州を出陣させて申し訳なく思い、涙が出そうになる。
しかし、今は泣いている場合ではない、と自らを奮い立たせた。
「その手入れ、と言うもののやり方を教えなさい」
「では、こちらへ」
加州を手入部屋へと運び、その刀身を預かる。
目くぎを抜いて、順番に手入れを行う。
少しずつ、丁寧に。
は落ち着いて、けれども出来るだけ早く、手入れを行なった。
手入れにより加州の傷も段々と治ってきた。

手入れが終わると、こんのすけは一度、政府の元に戻った。これからはずっといるのではなく、時々、様子を見に来るらしい。
鍛刀のやり方などは加州が知っているらしい。
「ごめんなさい」
こんのすけが帰ってから、は加州に謝った。
「え!?な、なに言ってんの!?っていうか頭上げなよ、あんた主でしょ!」
「こんのすけが大丈夫って言ったのを簡単に信じてしまったから。これは私が悪い。加州があんなに大きな怪我を負ってしまうとわかってたら出陣させたなかったよだから...」
「はぁー、変わってるね、あんた」
「...そう?」
「うん」
きょとんとするに加州は頷く。
「良い?俺たちは付喪神だから折れてもだいじょーぶ。また他の刀見つけて顕現させれば良いんだから」
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