• テキストサイズ

道の交わる時

第10章 過去の記憶


その狐は、こんのすけと名乗った。
こんのすけはまず、6振りの刀剣を出した。
「こちらから一振りお選びください」
「なんで?」
「初期刀といって、貴女様のこれからをサポートしてもらいます。一番長く貴女様にお仕えすると思われますので慎重にお選びください」
「慎重に選べって...」
刀を見て彼らの性状を知ることはできないのだから、無理な話だろう。
は刀を一振りずつ見た。
どれもよくわからない。その中で一際目立つ刀があった。
真っ黒な拵えに朱がかかっている。
何故か惹かれた。
「これにする」
「わかりました。では、お手を触れてください」
言う通りに刀の鞘に手を触れる。
すると、手が少し熱くなった。同時に桜が吹雪く。
「ー俺、加州清光。川の下の子河原の子ってね」
声がして目を開けると、目の前に同い年くらいの男の子が立っていた。
「...?」
「あれ、大丈夫?」
声の出ないを清光が気遣う。
「えっと、あなたが、この刀剣の...?」
「うん、付喪神。主であってるんだよね?」
「..そうなのかな」
がこんのすけを見ると頷いている。
「そうですよ、加州清光。あなたの主はその方です」
「へー、中々かわいいじゃん。よろしくね、主」
清光はにっこり笑った。


加州と共に、こんのすけはを本丸へと連れていった。
そして、こう言った。
「早速ですが出陣していただきます」
「まだ早くない?清光しかいないし」
「いえ、一度出陣して、やり方を知っていただかないと」
それでもなお、不満そうな顔をするに清光がいう。
「だいじょーぶ、俺、こう見えても結構強いよ?」
「でも...」
「主」
清光が言った。
「俺を信じて」
清光の目はどこまでも真っ直ぐだった。
「...わかった。でも一つだけ約束して」
「なに?」
「必ず、死なずに帰ってきて」
清光は、一瞬目を丸くした後、先程とは変わって優しく笑った。
「わかった、約束する」

/ 62ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp