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道の交わる時

第11章 甘く冷たい宅配便


は学校帰りに一人で道を歩いていた。
きよは、蘭も園子も部活がある。
世良は依頼人と会うとかで、すぐに帰っていった。
そのため、一人でゆっくり帰っていたのだ。
は考え事をしていた。加州の事だ。
長谷部などはさっさと見切りをつけて斬ってしまえ
、などと言っているが、他の刀剣男士も信じられないでいる。
一番動揺しているのは大和守だ。言葉にはしないものの、手合わせの時に如実に現れている。
実は昨夜、鶴丸に心を定めろ、と言われた。
加州を信じるか、否か。
どちらの道を選んでも、自分達がについて行く事は変わらない。今のままでは刀剣男士達にも戸惑いが続く。その戸惑いは戦いに影響する、と。
は迷っていた。
加州が自分を裏切るとはどうしても思えないのだ。
加州は刀剣男士の中でも情が強い。さらに彼はの初期刀だ。ずっとと共にいた。だからこそ裏切ると思いたくない。
だが、連絡が全くないという事はの思いとは逆の事実を示していた。
そんなことを考えながら歩いていると、知っている顔に出会った。
「あれ、梓さん」
「あら、ちゃん、お帰りなさい」
無意識のうちにポアロに来ていたようだ。
梓の足元には最近、居着いた猫、大尉がいた。
「あぁ、大尉もいるんだね」
そう言って大尉の首を撫でると、その冷たさに驚いた。今は冬だが、それにしては冷たすぎる。
「お前、一体どこに行ってきたの?」
そう言いながら大尉を撫でていると、首輪についているものに目がついた。
「!レシート?」
「なになに、COR...?」
その時、背後の扉が開いた。
「梓さん、マスターが呼んでますよ...さん?」
安室だった。
「あ、安室さん、そうだ、安室さんて探偵ですよね?」
「え、えぇ、そうですけど」
梓の勢いに安室がたじろぐ。
「じゃあ、このレシートの謎を解いてもらいましょう!ね、ちゃん!...ちゃん?」
梓と異なり、の顔は強張っていた。
「梓さん、ごめん。私、用事ができた!」
そう言ってレシートを梓に渡し、走り出した。
「え、ちゃん!」
は梓の声には振り返らなかった。
レシートに書かれていた文字はSCORPS。死体という英単語だ。
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