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道の交わる時

第9章 閑話 鯰尾


「?どうしたんだ?」
流石に変だと思ったのか、世良が尋ねる。
「か、かっこいい...」
「は?」
「あの真っ直ぐな刃紋は鯰尾のひたむきさや誠実さを表しているし、何よりあの鞘の配色!黒と濃紺とかめっちゃかっこいい、しも、少し色あせている感じが良いよね」
「.....」
「......あ」
無言になっている世良に、は気づいた。
恐る恐る世良を見ると、笑いを抑えていた。
「すまんすまん、君がそんなに熱くなる事は少ないから。少し驚いたんだ」
「驚いたら笑うの...?」
は複雑な顔をした。
「どーせ、刀好きなんて変わってますよー」
「でも良いんじゃないか?何か好きなことがあるって事だろ?」
世良は笑顔で言った。
「それに、そんな事言ったら、女だてらに探偵やってる僕だって変わり者だ」
「...確かに」
「だろー?」
そう言って二人で笑った。

展示会場を出て、帰り道、二人で色々な話をした。
好きなものの話や、兄弟の話。
世良の兄は二人いて、両方とも色々と大変な性格らしい。
の兄も同じようなものだったので、お互いの苦労話をしたりした。
「それじゃあ、僕はこっちだから」
「そっか、じゃあまた明日ね」
「あぁ、またな!」
世良は終始楽しそうにしていた。
実は、が最近、落ち込んでいることに気づいていたのだ。
直接聞くのも憚られたので、どうしようかと思っていたのだった。
しかし、今日のはとても元気そうだったので少しほっとしたのだ。
彼女とは、少しずつ仲良くなれれば良いと思っている。


「ただいまー」
「主さん、お帰りなさい」
を出迎えたのは堀川だった。
彼は本丸の家事を担っている者の一人である。
食は基本的に燭台切と歌仙がやっている。
たまに他の者も混じってやっている。
堀川は山姥切がきてすぐに来たので、彼と行動を共にすることが多い。二人で食事以外の家事をやることが多いのだ。
「どうでした?」
「凄かった」
は本丸を出る時は、どこに行くかを伝えるので、堀川も、今日はどこに行くのか知っていた。
そして、の答えを聞いて微笑む。
「感動してもらえたなら、刀としてはとても嬉しいです」
「でも、とうしよう」
「?」
「鯰尾の刀がかっこよすぎて、ちょっと...」

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