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道の交わる時

第9章 閑話 鯰尾


「ー!今日、ヒマー?」
学校の昼休み、園子が話しかけた。
「暇じゃないよ」
「うっそ、ポアロに誘おうと思ってたのに」
「ポアロって...安室さん?」
「ピンポーン!安室さん、絶対あんたに気があるって!」
「それはないんじゃ...」
否定しようとするに園子がいう。
「何言ってんのよ!この前も、あんなにあんたの事心配して、お姫様抱っこしたり、車で送るとか言い出したりしてんのよ!?絶対気があるわ!」
「...」
それはない、とは思った。彼は組織の人間なのだ。自分の様な一般人には興味ないだろう。一般人を装っているだけかもしれないが。
それに、コナンから、バーボンにはくれぐれも気をつける様に言われているので、正直接触したくない。
それに。
「とりあえず、今日はだめ。予定があるから」
「それってどんな予定なんだい?」
世良が言った。
「博物館。刀の展示があるの」
「刀なんて興味あるの?」
「うん」
園子と蘭はわからない、と言った顔をしたが、世良が言った。
「それ、僕も行っていいかい?」


は世良と行くにあたり、一つ言っておいた。
自分に気にせず見るように、と。


は本丸で刀剣男士達の刀を見ることがあるが、現代で見るのも好きだった。
今回は、鯰尾藤四郎、南泉一文字、物吉貞宗、後藤藤四郎、包丁藤四郎が展示される。どれもの本丸にいる者達だ。

物吉貞宗は、本体の他に鞘も展示してある。鞘の拵えがとにかく豪華である。大きな飾りもある。特に大事にされていたようだ。
包丁は、その名の通り、包丁に似ている。といっても、やはり刀、だが。
その後も南泉一文字、後藤、と見ていると、ふと、別の刀が見えた。

漆黒の鞘に深い紺色の組紐が付いている。
刀身はまっすぐで、鈍く光っている。
鯰尾藤四郎だった。
は、しばらくそこで惚けていた。
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