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道の交わる時

第8章 8章


人が通ったからか、普通の口調で話していると、スーツを着た一期一振がやって来た。おそらく、こちらに溶け込むために着て来たのだろう。社会人3年目くらいに見える。
「申し訳ない!」
「...」
は半目になっていた。
どうやら試合を制したのは一期だったようだ。
の本丸では、一期が二番目に来た太刀であり、古参の方でもある。そのため、他より、戦に出ることが多いので練度も強く、他に引けを取ることはそうそうない。
「遅いよもう...今度、なんかおごってね」
「はい」
沖矢にバレてはまずいので、普通の会話をしたつもりだったが、一期は何故か、とても嬉しそうに頷いた。
「その方が親戚の方ですか。随分と若い方ですね」
沖矢が言った。
「彼女がお世話になったようで。御礼申し上げる」
一期は沖矢の言葉を綺麗に無視し、言った。
そして、沖矢の返事を待たずにに言った。
「帰りましょうか」
「うん」
それにが頷いた。
沖矢は苦笑している。
「では」
そういって、二人は帰った。



沖矢が後をつけてくる気配はない。
「とりあえず、良かったぁ」
「全くですな」
道中、一期と共にため息をつく。
最初は安室だったが、あのままだったら、安室ではなく沖矢に追い詰められるところだった。
「にしても、試合するとか驚いたよ。まぁ、大体、結果は予想できてたけど...」
「それでも、みな納得しないのでしょうな。それも主の人柄があってこそ、です」
「私は納得してほしいかな」
の本丸は。古参の者が自然と強い傾向にある。
としては新しく来た者にも活躍の場を与えたいと思っているのだ。

しかし、それを許さないのが時間遡行軍。
刀剣男士達もそれがわかっているから、何も言わない。

「そういえば、私闘はダメって兼さん言ってなかった?」
「えぇ、ですから、交代で厠の掃除です」
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