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道の交わる時

第2章 再会


「実は中学の時、米花デパートで強盗があって。犯人は人質をとって逃走しようとしたんです」
「その時の人質がなんと!だったのよ!」
ポアロのテーブルにつき、各々が飲み物を注文して、安室が運んできたことをきっかけに、園子と蘭が説明した。
「はその時、犯人相手に上手く立ち回って、見事、犯人を捕まえたってわけ!」
「へぇー、すごいな!」
「いや、あの時、実はお兄ちゃんがいるのが見えて。隙を作ればお兄ちゃんがなんとかしてくれるかなーって思ったんだ。それに実際、犯人を捕まえたのはお兄ちゃんの連れの人だったから...」
世良の言葉にが答えると、安室は渋い顔をして言った。
「だとしても、無茶をしすぎですよ。さん、見たところ何か護身術を身につけているわけではないでしょう。もし刺されたりしたらどうするんです?」
「あはは。実はあの時、例の人にも似たような事を言われて、凄く叱られたんです」
「そうなの?」
「うん。ぶっちゃけいうと、人質に取られた時よりよっぽど怖かったかな」苦笑いのに園子達は呆れる。
「じゃあ、その安室さん似のイケメンは警察官ってこと?」
「うん、確かめたわけじゃないけど多分、そうだと思うよ」
蘭達のやり取りに、世良が待ったをかけた。
「ちょっと待って。なんで今のやり取りで警察官だってわかるんだい?」
「私のお兄ちゃん、警察官だったの。あの時もう、警察官学校に通ってたから...」
「だった、って言うのは?」
「私のお兄ちゃん、あの後すぐに亡くなったから...」
の言葉に世良ははっとした。
「あ、悪い、嫌なこと聞いたな」
「大丈夫」
世良がを盗み見たが、は特に悲しそうな顔はしていなかったので世良はホッと息をついた。
自分も兄を亡くした経験がある。その事は自分の中ではまだ消化しきれていない。もしも同じ状態であったとしたら彼女を傷つけることになるからだ。初対面でそれはいけない、と世良は思っていた。
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