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道の交わる時

第7章 ミステリートレイン


コナンを同席させても良い、という言葉を断り、は工藤家の門をくぐった。
「おや、お一人できたのですか?」
ドアの前で、沖屋が待っていた。
「...」
は一人で来たわけではなかった。
鞄には前田藤四郎を忍ばせている。
加州がいなくなった事により、政府に課せられた条件の一つだった。
他の刀剣男士、特に加州清光と戦える者を、一振り持ち歩く事。
もちろん、政府による命なので、法律違反として処罰されることはない。
だが、この命は、政府が加州清光を敵とみなしているともいえる。
最初、は反発したが、加州がにさえ何も言わずに消えたことや、他の刀剣男士の言葉により、渋々受け入れた。
刀剣男士としては、加州の事がなくても常々護衛を、と思っていたので、ちょうど良い機会だと思っていた。
そして白羽の矢が立ったのが前田である。
彼は、の初鍛刀であり、長くその容姿から他の者に警戒されるおそれもない。また修行に早い段階で出ており、その実力は加州を上回る。そのため、選ばれたのだ。
「とりあえず、中へどうぞ」
沖屋に案内されて、リビングのソファを勧められた。
そして沖屋が紅茶を入れている間、は周囲を見ていた。どうやら、盗聴器の類はないようだ。
「どうぞ」
沖屋が戻ってきて、紅茶を勧めた。
は、それには手をつけずに言った。
「あなたとは、ミステリートレインでもお会いしましたよね?私、あなたとどこかでお会いした事ないと思うんですけど、あなたは誰ですか?」
「これは、失礼。この顔出会うのは、確かに初めてでしたね」
そう言って、沖屋は顎の下に手をかけた。
そして、一気に顔の変装を剥がした。
「っ!?」
現れた顔は、確かにの知っている顔だった。
否、見たことのある顔だった。
「この顔なら見た事があるだろう、お嬢さん?」
「...」
は驚きのあまり、呆けていたが、段々と落ち着いてきたのか、言った。
「...だれ?ていうかなんで変装してるの?私の前で解いて良いの?」
「変装している理由についてはおいおい話そう。だが、俺のことを知らないとは言わせないぜ。スコッチの最期を君も見ただろう」
「...あなた、あの時...」
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