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道の交わる時

第7章 ミステリートレイン


世良はある推測を立てた。
先程のの様子と、兄の死についての言動から、兄の死因は拳銃自殺ではないか、と。

一方、蘭達は安室に会っていた。
安室に騒ぎの理由を聞かれ、おそらく、7号車の出来事だろうと蘭が告げた。
「そうなんですか。しかし、先生がいるならば、ボクの出番はなさそうですね」
そう言って、安室は不意にを見やった。
「さん、どうされました?顔色が悪いようですが...」
指摘されたの脳裏にはある記憶が蘇った。
全身が真っ黒で、黒の長髪を靡かせていた男と、彼を睨む安室にそっくりな男。
そして、兄の最期の顔。
「さん!」
肩が揺れたのは、自ら揺らしたのではなく、安室が原因だった。
「はい?」
「はい?じゃないですよ。具合でも悪いんですか?」
安室がの顔を覗き込みながら言った。
「大丈夫ですよ?」
「大丈夫そうには見えません」
安室きっぱりと言い、と額を合わせた。
「熱はなさそうですね...」
これにはも慌て、咄嗟に仰け反った。
「だから大丈夫ですよ!大袈裟ですって!」
「本当ですか?無理してません?」
「してません!」

後ろから見ていた蘭は顔を仄かに赤くし、園子は楽しそうに見ていた。


安室とわかれ、部屋に戻るなり、園子が言った。
「あんた、いつのまに安室さんと仲良くなったのよ!」
「えー、仲良いかな」
「私から見ても良いと思うよ」
の言葉に蘭は苦笑いしながら言った。
「ていうか、安室さん、のことが好きなんじゃないの!?」
「それはないでしょ」
なおも言い募る園子にはバッサリと言った。
「でも、気になる、くらいには思ってるんじゃないかな」
蘭が園子に同調した。
「そうかなー?」
「あんたほんっと鈍すぎ!そんなんだから彼氏できないのよ!」
園子が言った。
その時、灰原が突然席を立ち、出て行こうとした。
「哀ちゃん?どこ行くの?」
蘭が尋ねた。
「トイレ。ついでに薬も飲んでくるわ」

「哀ちゃん大丈夫かなぁ」
「大丈夫でしょ、ただのトイレなんだし」
「でも、ここにくるまでにずっと服の裾をつかんでいたから...」
蘭の言葉に今度はが立ち上がった。
「ちょっと、あんたまでどうしたのよ!」
「トイレ!」
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