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道の交わる時

第6章 閑話


三日月はいつもこうだ。飄々としていて、中身が読めない。天下五剣にして最美しいとされている故に長く生きたことからきているのかもしれないが、には少し怖いものがあった。
初めて顕現した時、怖くて近侍の山姥切の陰に隠れたのはいい思い出だ。
怖がられた当の本人は「美しいと賛美されたことはあったが、怖がられたのは初めてだ」とそれはそれは笑っていたが。

「こんな夜更けにどうしたの?」
「いやなに、そろそろ主が心細くなっているからだろうからな、添い寝とやらをしに来たぞ」
「は?」
は驚いた。こいつ何言ってんだ。
「というのは冗談でな」
「冗談に聞こえなかったよ?」
「加州を案じているのだろう。様子を見に来た」
同じ調子で告げられた言葉には驚いた。
「え...」
「最近、庭を眺めることが多いからな」
「...」
はため息をついて言った。
「...そうだね」

しばらく沈黙が流れた。
三日月もも、夜空を見上げていた。
「手紙がね、こないの」
が呟いた。
「こんのすけから聞いたところによると、修行している間は手紙が届くらしいの。でも、最近手紙が来なくなって。こんのすけに言ったら、あの子も清光の居場所がわからないらしいの。もうそろそろこんのすけから連絡がきてもいい頃なんだけど...」
その時、こんのすけがと三日月の間に現れた。

「審神者様!お待たせいたしました!...三日月様」
こんのすけは慌てたように尻尾を振った。
「こんのすけ、ご苦労様。清光のことでしょ、良いよ。言って」
こんのすけは少し逡巡した後、言った。
「加州様の件についてですが、行方がわかりません」
「っ...」
「何度も修行場所である、新撰組屯所を探しましたがいません。確かに屯所自体には行っていたようですが、その後、誰も知らない間にあそこを抜け出したようです。また...」
鈍器で殴られたかのような衝撃があった。こんのすけの言葉が右から左へと通り抜けて行く。
「こんのすけよ」
三日月が静かに言った。
「報告ご苦労。だが今はそれ以上は良い」
「しかし、「今の主には無駄だ」...」
こんのすけはの様子を見るとグッと言葉をのみ込んだ。
そして言った。
「政府が行方を追っています。審神者様にはこちらで待機願います」
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