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道の交わる時

第6章 閑話



宗三はこれでいて打ち解けた方だ。最初は「貴女も天下人の象徴を侍らせたいのですか」などと言い、頭を悩ませた。
そもそも天下人の象徴とは、と聞くに深い溜息をつきながら呆れの目を向けてきたことは記憶に新しい。
意味がわかった時、は即座に否定した。
「天下人が待っていた刀を持った所で、自分が偉くなるわけではないだろう」と。

その答えをどう取ったのかは知らないが、それ以降、宗三の雰囲気が柔らかくなったことは確かだ。


三人で茶菓子を食べ、小夜が食器を片付けに行ってから、宗三が言った。
「あなたは怖くないのですか?」
「なにが?」
「加州が修行に行ったことです」
「どうして?」
「帰ってこないかもしれないでしょう?」
「清光は必ず帰ってくるわ」
「どうですかね...」
そんな事を言う宗三に言った。
「もし帰ってこなかったら、私から探しに行くわ」
「ふ...強欲ですね」
「人間なんてそんなもんよ」
笑う宗三にもまた笑った。
「私は誰かを手放す気なんてない。だから、宗三も行きたかったら行っていいよ、修行」
すると、宗三は目を丸くした。
「どうせ、修行行ったら自分がここに戻って来るかわからないから不安だったんでしょ。良いよ、帰ってこなかったら探すから。それで小夜に復讐してもらおうか」
は笑いながら言った。
そんなを見て宗三はゆるゆると笑った。
「それは、怖い、ですね」
「そう?私は楽しみだけど。小夜と何するか考えとこう」



夜が更けて、は縁側で考え事をしていた。
加州を探しに行くという言葉は本当だ。だが、加州と他の刀剣男士では決定的に異なる点がある。
加州の事は何がなんでも手放さないと決めているが、他の刀剣男士は場合によっては手放すこともあるだろうという事だ。
そんな事を考えていると向こう側から足音がした。
音の鳴る方に目を向けると、ちょうど三日月が姿を現した。
「おや、主。まだ起きていたのか」
「いや、起きてるってわかってて来たんでしょ」
三日月の緩やかなボケにすかさず突っ込んだ。
「ああ、そうだったな」
朗らかに笑う三日月を見て少し呆れる。
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