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道の交わる時

第6章 閑話


は、縁側で庭を見つめていた。
刀剣男士の中には、庭いじりが好きな者もいる。
はできるだけ彼らの好きなようにさせていた。せっかく、人の身を得たのだからできるだけ自由にさせてやりたい。
それに彼らは人と違う。だからこそ、彼らを観察することはとても楽しいのだ。
ただし、他人に迷惑を掛けることや、困らせる事をする事だけは禁止していた。
の部屋は二階の端にある。
本丸内で唯一の女性である、という配慮からこの位置となった。ちなみにそんな事を言い出したのは風流を自称する彼ではなく、意外にも蜂須賀だった。
蜂須賀が来るまでは、初期刀の加州、主にあまり強く言えない前田、戦場育ちでそういったことに頓着しない薬研、愛染、今剣、小夜だったので、そんな話は全く出なかった。
むしろ、初日は、前田と加州のみだったので、の方からみんなで寝る事を提案したのだ。
勿論、前田は最初、否をとなえたが、に気圧されて承諾したのだ。
そして、その次の日の四人も特段、否定せず、むしろ愛染や今剣は自らの隣がいいと言い、加州と喧嘩していたくらいだった。
しかしその後に顕現した蜂須賀は譲らず、3日目からは一人で寝ることになったのだ。
ただし、彼らも部屋割りを決めていたようで、蜂須賀とは別室の前田がよく部屋に来ていた。
それも、刀剣男士の数が増え、が慣れてからはなくなったが。
そんな事を考えていると、柔らかい声に似合わない、棘のある言葉が聞こえた。
「おや、貴女、今日のお勉強とやらは終わったのですか?」
「終わったよ、宗三」
そう言うと、宗三は少し微笑んだ。
「そうですか。ではこのお菓子を冷蔵庫とやらに戻す必要はなさそうですね」
彼の手にはずんだ餅とお茶があった。
「ずんだ餅かぁ。みっちゃんかな」
「えぇ。お小夜も手伝ったそうですよ」
その言葉に小夜が宗三の後ろから姿を現した。
「そうなの?ありがとう小夜。三人で食べよう?」
「うん」
小夜は宗三の後ろから出て来るとの隣に座った。
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