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道の交わる時

第5章 旅立ち


昼ごはんを食べて、コナンが少年探偵団と集まるから、とポアロを出て言った後、はポアロで本を読んでいた。
「何を読んでいらっしゃるんですか?」
気づくと、安室が向かい側に座っていた。
「あれ、安室さん、お仕事は?」
「今はさんしかお客さんがいないので。他にできることももう終わりましたし」
ふと店内を見回すと、たしかに以外の客はいなかった。
「ほんとだ...」
そんなを安室はいつもと違う笑顔で見ていた。
その空気に居心地の悪さを感じたが言った。
「本の話ですよね。こらは沖田総司についての本です」
「沖田総司?たしか幕末の、新撰組の人ですね。さん、彼が好きなんですか?」
「好きではないです」
きっぱりと言ったに安室は首を傾げた。
「ではなぜ?」
「知りたいからです」
ポツリとは呟いた。
「彼の事が、知りたいんです」
真剣な表情のに、安室は何かを感じ取ったが、言ってみた。
「そうですか。...でも妬けますね」
「ん?妬ける...?」
「だって、貴女は会ったことのない故人の事をそんなに思っているんです。妬けますよ」
はて、とは首を傾げた。
私は沖田総司が好きだなんて言ってない。
がこの本を読んでいるのは、自らの刀である加州清光を知るためだ。
大和守安定に聞いたところ、沖田総司の事をそれはそれは丁寧に色々と教えてくれたが、人に聞くのではなく、本なども読んだ方が良いだろう、と他の刀達に言われたのだ。
は、刀の前の主の話をよく聞いていた。それはにとっては昔話のようであり、彼らにとっては大事な思い出だったりする。
「ええと、別に沖田総司の事はそこまで好きじゃないですよ?確かに凄い人だなぁとは思いますけど...」
「では、先程の彼、とは?」
「それは...」
は言い淀んだ。素直に加州と言うこともできないではない。しかし、それを言うと安室は追及するだろう。流石に、刀剣男士ですとは言えない。
そんなを安室は、探るように見ていた。
「それは...私の大事な人です」
「大事な人?」
「はい」
真実を言うわけにはいかず、かと言って嘘をついてもバレるだろうと思ったは、そう言った。
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